片隅でひよこ
      今日もひよこは片隅にいます。


  

 

  
**************

コヅクエヒヨコ

ぼくは、ひよこです。
この家の長女の机に住んでいます。

長女の気分や仕事の状況によって
ぼくのすみかは、ひろくなったり、せまくなったりします。
(主にせまい時が多いです)

せまい時には数え切れないくらいの物が乗っていて
今日みたいにひろい時も、いくつかの文房具や雑貨が乗っています。

欠かさずに乗っている物は、スノードームと、がじゅまるの木と
ぼくにとっては大きな絵が一枚。
はじめはそれほど仲良しではありませんでしたが、
今では大切な同居人です。

狭いながらも楽しい我が家は
ぼくにとってのパラダイスです。
 

(2005・1・15  ごあいさつにかえて)

 

**************

トイレットヒヨコ

トイレには新聞を持ち込んでしまうタイプです。

最近気になるのは株価と政治欄で
世の中はセチガライなぁといつも思っています。

今日もぼくはいつものように
「夜、あのえいがやるよ」と長女に教えました。

長女もやはりいつものように
「そうなんだ!ありがとう」と言いましたが
必ず見ない事をぼくは知っています。
(海外の映画は字幕で見たいから、だと思います)

いつか、この新聞の投稿ページに
ぼくのハガキが掲載される日が来ればいいなぁ、と思います。
 

 

(2005・1・23  トイレに何かを思いつく魔法がかかっているように思うのです)

 

**************

ぼくをあげるヒヨコ

1月30日は長女の誕生日です。

ぼくはこっそり何かをあげようと、出掛けた長女を見送ってから
うんせうんせと考えました。

長女がよろこびそうなステキなものは、たくさん思いつくのですが
ぼくはお金をもっていないうえに、とても小さいので
とてもとても買い物に出かけることが出来ません。

そんな事をしているうちに、朝が過ぎて、昼が過ぎて、夜も過ぎて
30日も終わって、長女が帰ってきてしまいました。

「何も思いつかないんだ。ごめんね。だから、ぼくをあげるよ・・・」と言うと
長女はとても嬉しそうに「その気持ちが凄く嬉しいわ」と
ぼくをてのひらに乗せて、うふふ、と笑いました。

ぼくはもっと大きくなるよ。えらいお仕事もするよ。
そして、来年こそステキな何かをあげるからね。
 

 

(2005・1・30  大工さんになろうと心に誓ったのです)

 

**************

アサシチジヒヨコ

おなかがすいたので、
朝7時のスライスチーズというものを食べてみました。
(たまごは食べないシュギでいます。
あれはもともとひよこが生まれないたまごなのよと長女は言いますが
それでもぼくは食べません)

ぼくは夕方4時に食べてみたけれど
なんだか朝7時の気分がしました。

チーズはだいすきです。
 

 

(2005・2・16  牛はモウと鳴くらしい。ぼくはピーと鳴くのです)

 

**************

ヒヨコヒゲ

お昼寝から起きると、ひげがはえていました。

ひげのはえたぼくをみるのは初めてですが
高貴で、まるで大人みたいで、イタリアンで、
どちらかというと素敵なのではないかという気がします。

でも、もう少し渋くてひかえめなひげも体験してみたいので
今度お昼寝をする時は
 

長女さまへ。
ひげを かいて くれるのであれば
どうか サムライ風に
 

と、置手紙をしてから寝ようと思います。
 

 

(2005・2・25  事件とは突然起こるものです)

 

**************

コオドリヒヨコ

今日は「ひなまつり」というお祝いの日らしいので
ちょっと一踊りしてみました。

(長女が言うには「おんなのこのおまつり」だそうなので
男の子の人形のじんちに入って踊りました)

あまざけも、ひなあられも、さくらもちも大好きなので
おんなのこはいいなぁ、と思います。

いいなぁ。いいなぁ。
いつか「ひよこのおまつり」もできればいいのになぁ。
ひよこのおまつりができた時は、誰にもえんりょする事なく
おなかいっぱいひなあられを食べようと思います。
 

 

(2005・3・3  長女曰く「五人囃子の小堤の子がマツモトノリコさんという方に似てるのよ」だそうです)

 

**************

ユキノヒヒヨコ

ゆき、というものがふりました。

ゆきをみるのは初めてです。
ゆきはつめたくて、しろくて、べちゃっとしていて
食べるとミネラルウォーターの味がしました。

「雪の中にあなたがいると目玉焼きみたいでキレイね。」
と長女が言いましたが
ぼくはたまごを食べないシュギでいるので、複雑なきもちです。

それから2日間も考えてみましたが、やっぱり
 

白ときいろ=めだまやき
 

というけつろんよりも
 

白ときいろ=ゆきのひのひよこ
 

というほうが、かわいさとはかなさをカネソロエていて
なんびゃくばいもすてきです。

長女が帰ってきたら教えてあげようと思います。
 

 

(2005・3・16  ミネラルウォーターの方が何倍も綺麗なようです)

 

**************

エノグマミレヒヨコ

ある日、ぼくが机から飛び降りると
なぜかこんなことになってしまいました。

長女はちょっとおどろいた顔をして、それからすぐ笑顔になって
「あらあら。油断大敵ね」
と言いました。

どうやらこういうことを「ユダンタイテキ」というようです。

ぼくは「ユダンタイテキ」という言葉をおぼえたので
これからは、ユダンタイテキしないでくらせることと思います。
 

 

(2005・4・15  長女は絵描きです。ぼくはえのぐまみれです)

 

**************

ツキノヒヒヨコ

最近、おおかみおとことやらに憧れているぼくは
(オトコの中のオトコという感じがするからです)
月に向かってほえています。

ひよこのぼくがオオカミにはなることは難しいですが
ほえているととっても強くなった気がして
気分的にはひゃくじゅうの王様です。

それを長女に言うと
「百獣の王様はライオンよ」
と言われてしまいました。

どちらも強そうなので、どちらになってもいいかな、と思います。
がおー。
 

 

(2005・9.24  中秋の満月です)


 

 


 

もどる